増え続ける空き家の問題。テレビやネットで頻繁に話題になっていますよね。
不動産に関わる司法書士にとって、関心の高い社会問題のひとつです。
行政でもいろいろと「空き家対策」の政策がありますが、国土交通省の平成29年度「先駆的空き家対策モデル事業」に採択された、福岡県青年司法書士協議会の取り組みについて紹介させてください。
福岡県青年司法書士協議会とは、福岡県内に事務所をおいている若手司法書士の有志が集まって活動している団体です。
年齢が若いかどうかはさておき…新しいこと、いま社会問題になっていることに対して、フットワーク軽くチャレンジしていく司法書士が集まっています。
私は昨年に加入して、先輩司法書士の背中を追いかけて活動に参加しています。
私よりも後に司法書士試験に合格した人も続々加入してきているので、いつまでも後輩気分でいるわけにもいきませんが。
民事信託とは
さて、今回ご紹介する「空き家対策」は、「家族信託」と呼ばれる民事信託を使った方法です。
「家族信託」をかんたんに説明すると、財産を「家族」に「信」じて「託」すことです。
遺言や成年後見、生前贈与ではカバーできない問題に対応できるとして、最近注目されています。
財産の所有者(委託者)が、信じて託したい相手(受託者)と信託契約を結び、その信託契約に基づいて財産の管理処分権限を委託者から受託者に引き継ぎます。
受託者は、その財産から利益を受ける人(受益者)のために、その財産の管理処分を行います。
家族信託の場合は通常、当初は委託者=受益者にして、実質的に利益を受ける人が変わらないようにします。
利益を受ける権限を委託者(=受益者)に残して、管理処分権限だけを受託者に移す、というイメージです。
民事信託の利用を検討した方がよい方
法律的に解説しましたが、「なんのこっちゃ?」ですよね。
私も、試験勉強をしているときは「信託」という言葉が出てくるだけでイヤな気分になったものです。
具体的には、次のような事情のある方は民事信託の利用をいちど検討してみてもいいかもしれません。
- 「自宅の管理処分は子どもに任せたい」
- 「認知症になったら自宅を売って施設に入りたい」
- 「実家を継ぐ人がいないので将来空き家になるのが確実」
- 「相続人となる予定者の中に認知症や知的障害のある人がいる」
- 「相続させたあとの、その次の相続先も指定したい」
民事信託の注意点
民事信託には、注意点もあります。
- 「財産の所有者がすでに判断能力が不十分になっている場合は使えない」
- 「信じて託せる家族がいないと使えない」
- 「契約書作成や登記申請に費用がかかる」
民事信託の費用
費用がどのくらいかかるのか、とても気になると思いますが、信託契約はとても自由度が高く、他の制度(任意後見契約、遺言など)と組み合わせて利用する場合もあるので、必要な費用が事案によってぜんぜん違います。
実際に信託契約書の作成を司法書士や弁護士に依頼する場合は、よく打ち合わせをして、かかる費用についてもよく確認してください。
もっと詳しく知りたい!という方は、福岡県青年司法書士協議会の司法書士が、事業の一環として無料で説明に伺いますので、お気軽にお問い合わせください。
私の事務所の電話でも受け付けています。
また、各種イベントのセミナー講師として呼んでいただくのも大歓迎です!
平成29年度の事業なので残り2か月と少し、お早目にどうぞ!!
事業のパンフレットは、福岡県青年司法書士協議会のホームページからもご覧いただけます。